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令和6年度取り組み

遊びと洗練
飯嶋秀治藤田雄飛藤田智子古賀徹山下亜紀子

どのような取り組みですか?

「遊びと洗練」は、基本的に取り組みコーディネーターの飯嶋を中心とし、2016年度から断続的に行ってきた、ゲスト講師を迎えての研究会です。
 2016年度は南博文と三島美佐子とともに石黒敦彦氏と羽下大信氏を招き、2017年度は南博文、末広香織、倉田剛とともに染谷昌義氏を招き、2018年度は南博文と金子周平とともに杉本美貴、羽下大信、佐藤良明、菊池美祐・藤井都借百の五氏を招き、2020年度は、2013年に開催した多分野連携「水俣を通じて人間と環境の関係を考える」を引継ぎ、岡幸江、黒木俊秀とともに、古賀徹、高橋勤、磯谷明徳、出水薫、中山裕文の諸氏を招いたオンライン・シンポジウムを開催しました。
それぞれの専門領域の間隙を「遊び」の領域とし、それぞれの専門領域が宙づりになる主題を選んで、また人間環境学内のそれぞれの専門領域に持ち帰れるように考えています。その主題設定においては生物進化論における「中立進化」説や、経済史における「交易港」を念頭にデザインしています。
主には、外部から講師を招聘し、その領域の話を聞き、人間環境学研究院の教員・学生を中心にディスカッションし、私たちの共通の知識としていきます。
 人間環境学は方法を共有しないディシプリンの集まりなので、「遊べる」主題を設定し、その下で、人間環境学に重要な寄与を果たしうる知恵を「洗練」させるべく積み重ねていきます。

都市の生態学:移動・地域・生活環境
木下寛子山下亜紀子藤田雄飛黒瀬武史野々村淑子田北雅裕

どのような取り組みですか?

朝、博多から姪浜方面行の福岡市営地下鉄に乗ると、春には外国語のテキストに取り組んでいる学生らしき人を多数見かけ、秋にはパソコンで書類とにらめっこしたり、いそいそと本や論文を読んだり、冬にかけては分厚い原稿の束に赤を入れたりする年配の人たちを見かけます。その風景は2018年までは東区(箱崎九大前駅まで)の電車で見慣れた風景でした。九州大学のキャンパスの移転は、このように毎日の人の移動する方向やその光景が生起する場所を変えました。そればかりか学生、研究者、留学生の暮らす場所・拠点の移動を起こして、福岡市を中心とした都市圏とそこでの人の暮らしの在り方にも多様なインパクトをもたらしています。この取り組みでは、生活環境(私たちが暮らしている場所)を基本的な単位として、多様な人々の多様な移動を織り込みながら、現在の都市と人間の関係性を「人間=土地(場所)系」(吉良竜夫)*という相互浸透論的な視角から理解していくことを目指します。またその展開においては、人社系および理系他学府・他研究院や学外の諸機関・組織との連携・協働も視野に入れていきます。
*吉良竜夫(1976)将来への展望(梅棹忠夫・吉良竜夫(編『)生態学入門』,pp.156-157, 東京:講談社.)

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
野々村淑子高野和良田上哲山下亜紀子岡幸江田北雅裕稲葉美由紀木下寛子野村れいか

どのような取り組みですか?

 本取組は、子どもの育ちを支える様々な関係性を見つめ、そのなかでの亀裂や綻びを恢復していく道筋を探る領域横断的基礎研究です。さまざまな関係性をどのようなものと考え、そして何を亀裂や綻 びとするのか、ということ自体をも俎上にのせ、それぞれの前提や枠組を理解するということがまずは重要です。 
 人はさまざまな関係性のなかで生まれ、育ち、そして生きていき ます。子どもが生きている時空間には、多様に広がり、繋がりながら 変化し続けている諸関係の網目が存在しています。そうした諸関係の網目とは、どのように絡み合っているのでしょうか。どのような時に、それは問題である、あるいは、欠如している、保護しなければならない、などのまなざしをあびることになるのでしょうか。さらに、そうした意識を土台として、どのようにそれを再構築していこうとするのでしょうか。
 子どもが生きている世界は、実は私たちが生きている世界です。つまり、子どもの育ちを支えている諸関係は、私たち自身がそのなかで生き、その関係性を築いているのです。子どもをめぐる諸関係の再構築とは、私たち自身(が構成している関係の網目)の再構築です。私たちは、どこまでそれに向き合えるでしょうか。 領域横断的なアプローチによって、それぞれの前提、知見を対置させつつ、また実践者、関係諸機関の方々の声に耳を傾けつつ、融合的模索のための土壌とした いと思います。
 そして、教育または福祉として別箇に論じられてきた研究の枠組自体をも問い直すことを目指します。

共生社会のための心理学
内田若希山本健太郎野村れいか池田浩小澤永治古賀聡金子周平

どのような取り組みですか?

 現代社会を理解するうえで「ダイバーシティ(多様性)」という考え方は欠かせない要素のひとつです。現代は人種や性はもとより、文化、価値観、それぞれがもつ感性や能力の違いなど多様なバックグラウンドを持つ人たちが共生することをめざす社会へと進みつつあります。
 自分の個性や能力を活かして皆が住みやすい社会を作り維持するためには、それぞれの個性や特性を尊重し合う態度が重要です。そのような社会を構築するためには、議論し、互いを知り、学び合うことが必要です。その時に参照できるもののひとつが、学問としての社会科学であり心理学と考えます。心理学は科学的なデータを重視し複雑で多様な人の心を理解することをめざす学問です。学際研究の重要性が強調される昨今、心理学は、知覚心理学、認知心理学、発達心理学、社会心理学、スポーツ心理学、環境心理学、臨床心理学など、さまざまな視点から人の心の多様性を研究しています。
 九州大学大学院人間環境学府の心理学は、視覚情報処理、アスリートの心理、運動障害を抱える人のスポーツやリハビリテイション、乳幼児の発達、発達障害児の支援、うつ病やアディクションなどストレス社会が生み出す心の問題への支援、企業等の組織におけるコミュニケーションやチームワークなど、さまざまな領域を学問の対象としています。本学府の心理学をベースに、それぞれの専門性や知見を持ち寄り、互いに刺激し合い高め合う学びの場を設けます。

人工現実・野外環境と感覚生理
光藤宏行増本賢治古賀靖子

どのような取り組みですか?

健康な生活を送るためには、私たちを取りまく環境が個人にどのような影響を及ぼすかを科学的に知り、それを活かすことが大切です。何より個人は生体であるため、私たちの感覚と生理のメカニズム、周りの環境からの影響、およびそれらの間の関係を正しく理解する必要があります。現代において環境とは、屋内外の物理環境のみならず、人工現実空間までを含む幅広いものになりつつあります。現状では、このような広範な環境が感覚・生理のメカニズムにどのような影響を与え、相互作用するかについて十分な理解が得られてはいません。そこで本取組では、建築環境学、知覚心理学、運動生理学を専門とする教員が、上記のさまざまな環境における感覚、生理、運動の生体メカニズムの働きを統合的に理解し、健康な生活に役立てることを目指して、学際的な研究交流を行います。研究交流として、各教員とその関係者が取り組んでいる研究を一同に会して意見交換を行う研究会、または外部の専門家を招いたシンポジウムなどを計画しています。


令和5年度取り組み

都市の生態学:移動・地域・生活環境
木下寛子山下亜紀子藤田雄飛飯嶋秀治黒瀬武史野々村淑子田北雅裕

どのような取り組みですか?

朝、博多から姪浜方面行の福岡市営地下鉄に乗ると、春には外国語のテキストに取り組んでいる学生らしき人を多数見かけ、秋にはパソコンで書類とにらめっこしたり、いそいそと本や論文を読んだり、冬にかけては分厚い原稿の束に赤を入れたりする年配の人たちを見かけます。その風景は2018年までは東区(箱崎九大前駅まで)の電車で見慣れた風景でした。九州大学のキャンパスの移転は、このように毎日の人の移動する方向やその光景が生起する場所を変えました。そればかりか学生、研究者、留学生の暮らす場所・拠点の移動を起こして、福岡市を中心とした都市圏とそこでの人の暮らしの在り方にも多様なインパクトをもたらしています。この取り組みでは、生活環境(私たちが暮らしている場所)を基本的な単位として、多様な人々の多様な移動を織り込みながら、現在の都市と人間の関係性を「人間=土地(場所)系」(吉良竜夫)*という相互浸透論的な視角から理解していくことを目指します。またその展開においては、人社系および理系他学府・他研究院や学外の諸機関・組織との連携・協働も視野に入れていきます。
*吉良竜夫(1976)将来への展望(梅棹忠夫・吉良竜夫(編『)生態学入門』,pp.156-157, 東京:講談社.)

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
野々村淑子高野和良田上哲山下亜紀子岡幸江田北雅裕稲葉美由紀木下寛子

どのような取り組みですか?

 本取組は、子どもの育ちを支える様々な関係性を見つめ、そのなかでの亀裂や綻びを恢復していく道筋を探る領域横断的基礎研究です。さまざまな関係性をどのようなものと考え、そして何を亀裂や綻 びとするのか、ということ自体をも俎上にのせ、それぞれの前提や枠組を理解するということがまずは重要です。 
 人はさまざまな関係性のなかで生まれ、育ち、そして生きていき ます。子どもが生きている時空間には、多様に広がり、繋がりながら 変化し続けている諸関係の網目が存在しています。そうした諸関係の網目とは、どのように絡み合っているのでしょうか。どのような時に、それは問題である、あるいは、欠如している、保護しなければならない、などのまなざしをあびることになるのでしょうか。さらに、そうした意識を土台として、どのようにそれを再構築していこうとするのでしょうか。
 子どもが生きている世界は、実は私たちが生きている世界です。つまり、子どもの育ちを支えている諸関係は、私たち自身がそのなかで生き、その関係性を築いているのです。子どもをめぐる諸関係の再構築とは、私たち自身(が構成している関係の網目)の再構築です。私たちは、どこまでそれに向き合えるでしょうか。 領域横断的なアプローチによって、それぞれの前提、知見を対置させつつ、また実践者、関係諸機関の方々の声に耳を傾けつつ、融合的模索のための土壌とした いと思います。
 そして、教育または福祉として別箇に論じられてきた研究の枠組自体をも問い直すことを目指します。

共生社会のための心理学
内田若希山本健太郎野村れいか池田浩小澤永治古賀聡金子周平

どのような取り組みですか?

 現代社会を理解するうえで「ダイバーシティ(多様性)」という考え方は欠かせない要素のひとつです。現代は人種や性はもとより、文化、価値観、それぞれがもつ感性や能力の違いなど多様なバックグラウンドを持つ人たちが共生することをめざす社会へと進みつつあります。
 自分の個性や能力を活かして皆が住みやすい社会を作り維持するためには、それぞれの個性や特性を尊重し合う態度が重要です。そのような社会を構築するためには、議論し、互いを知り、学び合うことが必要です。その時に参照できるもののひとつが、学問としての社会科学であり心理学と考えます。心理学は科学的なデータを重視し複雑で多様な人の心を理解することをめざす学問です。学際研究の重要性が強調される昨今、心理学は、知覚心理学、認知心理学、発達心理学、社会心理学、スポーツ心理学、環境心理学、臨床心理学など、さまざまな視点から人の心の多様性を研究しています。
 九州大学大学院人間環境学府の心理学は、視覚情報処理、アスリートの心理、運動障害を抱える人のスポーツやリハビリテイション、乳幼児の発達、発達障害児の支援、うつ病やアディクションなどストレス社会が生み出す心の問題への支援、企業等の組織におけるコミュニケーションやチームワークなど、さまざまな領域を学問の対象としています。本学府の心理学をベースに、それぞれの専門性や知見を持ち寄り、互いに刺激し合い高め合う学びの場を設けます。

人工現実・野外環境と感覚生理
光藤宏行増本賢治古賀靖子

どのような取り組みですか?

健康な生活を送るためには、私たちを取りまく環境が個人にどのような影響を及ぼすかを科学的に知り、それを活かすことが大切です。何より個人は生体であるため、私たちの感覚と生理のメカニズム、周りの環境からの影響、およびそれらの間の関係を正しく理解する必要があります。現代において環境とは、屋内外の物理環境のみならず、人工現実空間までを含む幅広いものになりつつあります。現状では、このような広範な環境が感覚・生理のメカニズムにどのような影響を与え、相互作用するかについて十分な理解が得られてはいません。そこで本取組では、建築環境学、知覚心理学、運動生理学を専門とする教員が、上記のさまざまな環境における感覚、生理、運動の生体メカニズムの働きを統合的に理解し、健康な生活に役立てることを目指して、学際的な研究交流を行います。研究交流として、各教員とその関係者が取り組んでいる研究を一同に会して意見交換を行う研究会、または外部の専門家を招いたシンポジウムなどを計画しています。


令和4年度取り組み

都市の生態学:移動・地域・生活環境
木下寛子山下亜紀子藤田雄飛飯嶋秀治黒瀬武史野々村淑子田北雅裕

どのような取り組みですか?

朝、博多から姪浜方面行の福岡市営地下鉄に乗ると、春には外国語のテキストに取り組んでいる学生らしき人を多数見かけ、秋にはパソコンで書類とにらめっこしたり、いそいそと本や論文を読んだり、冬にかけては分厚い原稿の束に赤を入れたりする年配の人たちを見かけます。その風景は2018年までは東区(箱崎九大前駅まで)の電車で見慣れた風景でした。九州大学のキャンパスの移転は、このように毎日の人の移動する方向やその光景が生起する場所を変えました。そればかりか学生、研究者、留学生の暮らす場所・拠点の移動を起こして、福岡市を中心とした都市圏とそこでの人の暮らしの在り方にも多様なインパクトをもたらしています。この取り組みでは、生活環境(私たちが暮らしている場所)を基本的な単位として、多様な人々の多様な移動を織り込みながら、現在の都市と人間の関係性を「人間=土地(場所)系」(吉良竜夫)*という相互浸透論的な視角から理解していくことを目指します。またその展開においては、人社系および理系他学府・他研究院や学外の諸機関・組織との連携・協働も視野に入れていきます。
*吉良竜夫(1976)将来への展望(梅棹忠夫・吉良竜夫(編『)生態学入門』,pp.156-157, 東京:講談社.)

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
野々村淑子高野和良田上哲山下亜紀子岡幸江田北雅裕稲葉美由紀

どのような取り組みですか?

 本取組は、子どもの育ちを支える様々な関係性を見つめ、そのなかでの亀裂や綻びを恢復していく道筋を探る領域横断的基礎研究です。さまざまな関係性をどのようなものと考え、そして何を亀裂や綻 びとするのか、ということ自体をも俎上にのせ、それぞれの前提や枠組を理解するということがまずは重要です。 
 人はさまざまな関係性のなかで生まれ、育ち、そして生きていき ます。子どもが生きている時空間には、多様に広がり、繋がりながら 変化し続けている諸関係の網目が存在しています。そうした諸関係の網目とは、どのように絡み合っているのでしょうか。どのような時に、それは問題である、あるいは、欠如している、保護しなければならない、などのまなざしをあびることになるのでしょうか。さらに、そうした意識を土台として、どのようにそれを再構築していこうとするのでしょうか。
 子どもが生きている世界は、実は私たちが生きている世界です。つまり、子どもの育ちを支えている諸関係は、私たち自身がそのなかで生き、その関係性を築いているのです。子どもをめぐる諸関係の再構築とは、私たち自身(が構成している関係の網目)の再構築です。私たちは、どこまでそれに向き合えるでしょうか。 領域横断的なアプローチによって、それぞれの前提、知見を対置させつつ、また実践者、関係諸機関の方々の声に耳を傾けつつ、融合的模索のための土壌とした いと思います。
 そして、教育または福祉として別箇に論じられてきた研究の枠組自体をも問い直すことを目指します。

共生社会のための心理学
内田若希山本健太郎野村れいか池田浩小澤永治古賀聡金子周平

どのような取り組みですか?

 現代社会を理解するうえで「ダイバーシティ(多様性)」という考え方は欠かせない要素のひとつです。現代は人種や性はもとより、文化、価値観、それぞれがもつ感性や能力の違いなど多様なバックグラウンドを持つ人たちが共生することをめざす社会へと進みつつあります。
 自分の個性や能力を活かして皆が住みやすい社会を作り維持するためには、それぞれの個性や特性を尊重し合う態度が重要です。そのような社会を構築するためには、議論し、互いを知り、学び合うことが必要です。その時に参照できるもののひとつが、学問としての社会科学であり心理学と考えます。心理学は科学的なデータを重視し複雑で多様な人の心を理解することをめざす学問です。学際研究の重要性が強調される昨今、心理学は、知覚心理学、認知心理学、発達心理学、社会心理学、スポーツ心理学、環境心理学、臨床心理学など、さまざまな視点から人の心の多様性を研究しています。
 九州大学大学院人間環境学府の心理学は、視覚情報処理、アスリートの心理、運動障害を抱える人のスポーツやリハビリテイション、乳幼児の発達、発達障害児の支援、うつ病やアディクションなどストレス社会が生み出す心の問題への支援、企業等の組織におけるコミュニケーションやチームワークなど、さまざまな領域を学問の対象としています。本学府の心理学をベースに、それぞれの専門性や知見を持ち寄り、互いに刺激し合い高め合う学びの場を設けます。

人工現実・野外環境と感覚生理
光藤宏行増本賢治古賀靖子

どのような取り組みですか?

健康な生活を送るためには、私たちを取りまく環境が個人にどのような影響を及ぼすかを科学的に知り、それを活かすことが大切です。何より個人は生体であるため、私たちの感覚と生理のメカニズム、周りの環境からの影響、およびそれらの間の関係を正しく理解する必要があります。現代において環境とは、屋内外の物理環境のみならず、人工現実空間までを含む幅広いものになりつつあります。現状では、このような広範な環境が感覚・生理のメカニズムにどのような影響を与え、相互作用するかについて十分な理解が得られてはいません。そこで本取組では、建築環境学、知覚心理学、運動生理学を専門とする教員が、上記のさまざまな環境における感覚、生理、運動の生体メカニズムの働きを統合的に理解し、健康な生活に役立てることを目指して、学際的な研究交流を行います。研究交流として、各教員とその関係者が取り組んでいる研究を一同に会して意見交換を行う研究会、または外部の専門家を招いたシンポジウムなどを計画しています。

 

 


令和3年度取り組み

トランザクションとのつきあい方―人間環境学への道、人間環境学からの道
藤田雄飛飯嶋秀治黒瀬武史野々村淑子田北雅裕木下寛子

どのような取り組みですか?

人間環境学は、何よりも、人間と環境とのトランザクションをいかに学問するのか、という問いの集積に他なりません。その幾つかの側面が教育学、人間科学、建築学などの領域で研究されてきましたが、その対象のライフステージにより、また研究がおかれてきた時代により、大きく問いの立て方が変わってきました。本多分野連携プログラムでは、そのトランザクションの担い手としての子どもから老人まで、神社の聖域から都市の無意識まで、トランザクションから引いたり没入したりしながら研究してきた人間環境心理学を中心に、他の領域の教員たちとの交差で生じる研究領域を開いてゆきます。

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
野々村淑子高野和良田上哲山下亜紀子岡幸江田北雅裕稲葉美由紀

どのような取り組みですか?

 本取組は、子どもの育ちを支える様々な関係性を見つめ、そのなかでの亀裂や綻びを恢復していく道筋を探る領域横断的基礎研究です。さまざまな関係性をどのようなものと考え、そして何を亀裂や綻 びとするのか、ということ自体をも俎上にのせ、それぞれの前提や枠組を理解するということがまずは重要です。 
 人はさまざまな関係性のなかで生まれ、育ち、そして生きていき ます。子どもが生きている時空間には、多様に広がり、繋がりながら 変化し続けている諸関係の網目が存在しています。そうした諸関係の網目とは、どのように絡み合っているのでしょうか。どのような時に、それは問題である、あるいは、欠如している、保護しなければならない、などのまなざしをあびることになるのでしょうか。さらに、そうした意識を土台として、どのようにそれを再構築していこうとするのでしょうか。
 子どもが生きている世界は、実は私たちが生きている世界です。つまり、子どもの育ちを支えている諸関係は、私たち自身がそのなかで生き、その関係性を築いているのです。子どもをめぐる諸関係の再構築とは、私たち自身(が構成している関係の網目)の再構築です。私たちは、どこまでそれに向き合えるでしょうか。 領域横断的なアプローチによって、それぞれの前提、知見を対置させつつ、また実践者、関係諸機関の方々の声に耳を傾けつつ、融合的模索のための土壌とした いと思います。
 そして、教育または福祉として別箇に論じられてきた研究の枠組自体をも問い直すことを目指します。

共生社会のための心理学
光藤宏行池田浩内田若希小澤永治古賀聡金子周平

どのような取り組みですか?

 現代社会を理解するうえで「ダイバーシティ(多様性)」という考え方は かせない要素のひとつです。現代は人種や性はもとより、文化、価値観、それぞれがもつ感性や能力の違いなど多様なバックグラウンドを持つ人たちが共生することをめざす社会へと進みつつあります。
 自分の個性や能力を活かして皆が住みやすい社会を作り維持するためには、それぞれの個性や特性を尊重し合う態度が重要です。そのような社会を構築するためには、議論し、互いを知り、学び合うことが必要です。その時に参照できるもののひとつが、学問としての社会科学であり心理学と考えます。心理学は科学的なデータを重視し複雑で多様な人の心を理解することをめざす学問です。学際研究の重要性が強調される昨今、心理学は、知覚心理学、認知心理学、発達心理学、社会心理学、スポーツ心理学、環境心理学、臨床心理学など、さまざまな視点から人の心の多様性を研究しています。
 九州大学大学院人間環境学府の心理学は、視覚情報処理、アスリートの心理、運動障害を抱える人のスポーツやリハビリテイション、乳幼児の発達、発達障害児の支援、うつ病やアディクションなどストレス社会が生み出す心の問題への支援、企業等の組織におけるコミュニケーションやチームワークなど、さまざまな領域を学問の対象としています。本学府の心理学をベースに、それぞれの専門性や知見を持ち寄り、互いに刺激し合い高め合う学びの場を設けます。

災害と学校 ―人間環境学の知見の構築―(3)
元兼正浩南博文神野達夫田北雅裕志波文彦

どのような取り組みですか?

これまでの取り組みは、以下の通りです。
◯2011~2012年度 「子どもや地域を犯罪から守るための異分野連携研究」
◯2012~2014年度 「学校のトイレで多分野連携アプローチの可能性をさぐる」
◯2015~2017年度 「通学路の研究-家庭から校門までの長い道のり-」   
◯2018年度 「災害と学校-熊本震災に学ぶ-人間環境学の知見の構築(1)」
〇2019年度  「災害と学校 熊本震災に学ぶ2 -避難所についてかんがえる-」(2020.2.28実施予定→中止)
〇2020年度 「災害と学校-人間環境学の知見の構築(2)※上記中止のため-学校空間をCOVID-19の視点から問い直す」(2021.2.24)
      ◎2021年度 「災害と学校-人間環境学の知見の構築(3)
 「学校トイレ」や「通学路」の研究会でも、災害時の問題点や対応に視点を当ててきましたが、2018年度は、「災害と学校」へと展開し、直接、「災害」に焦点を当てて、人間環境学の知見の構築として、多分野連携の意識を高めた取り組みを開始しました。
 具体的には熊本大震災について、建築学、教育学の2つの研究室の教員と院生が、それぞれ、学会発表などをもとに報告しました。異なる分野の研究室の発表は、感想文にも表れていましたが、通常の授業やゼミでは得ることが困難であろう知見の獲得はもちろんのこと、研究視点、研究方法の設定など、教員、および、院生にとって大きな刺激になり、研究意欲を高め、多分野連携研究の意義を実感する機会となったことは極めて大きな成果であったといえます。
 そこで、2019年度も、院生による報告を計画しました。具体的には、熊本大震災について、建築学、教育学の2つの研究室の教員と院生が、それぞれ、学会発表などをもとに報告しました。異なる分野の発表は、新しい知見の獲得に加えて、研究の視点、研究方法の設定など、教員、および、院生・学生に刺激を与え、研究意欲を高め、多分野連携研究の意義を実感する機会となり、大きな成果があったといえます。
そこで、昨年度は、2020.2.28実施の予定で、他大学との連携による院生の報告を計画し、「避難所」という同一のテーマで、広島大学大学院生の「被災直後の一時的教育空間の確保について」と本学大学院生の「被災者の移動を踏まえた避難所のあり方」の2つの報告を予定していましたが、コロナ禍のなか、研究会は中止せざるを得ませんでした。
そこで、本年度は、九州で2017年、2018年、さらには、2020年と続いた水害に焦点を当てた「避難所」の研究会を視野に入れてはいましたが、2020年に入って全世界に広まり、わが国でも2月には休校要請が出され、全国の小、中、高校から大学まで、学校教育に大きな影響を及ぼしたコロナに焦点を当てるべきであると考えました。
2021年1月現在、終息や収束が見通せないなかではありますが、今後の学校運営や校舎の計画の見直し等が必要に迫られていると考えられます。そこで、東京理科大学理工学部建築学科 垣野義典准教授、および、垣野研究室の学部生の調査報告をもとに、「学校空間」について建築学的、教育学的、心理学的、現場の教員等、さまざまな視点から学校・校舎に関する議論をします。

遊びと洗練
飯嶋秀治岡幸江黒木俊秀古賀徹高橋勤磯谷明徳出水薫中山裕文馬奈木俊介

どのような取り組みですか?

 多分野連携「遊びと洗練」は、単年度連続企画として、2016年度から開催してきました。主には年に2回、人間-環境系から学習する講義と、人間-環境系へと働きかけるワークショップに講師を招聘し、「エキシビション」「アフォーダンス」「デザイン」「アート」等の主題のもとに2名の講師を招聘してまいりました。
 その趣旨とは、どの専門家らも距離のあるトピック(「遊び」の領域)を設けて、そこで体験したことを表現として創りあげてゆく(「洗練」の領域)の試みです。
 毎年主題とすることも、それを共有するメンバーも変化するため、「単年度連続企画」としていますが、人間環境学という学際領域をその時々の必要に応じて挑戦的な領域にし続けるための工夫でもあります。

アジアの都市と市民  ―人文社会系協働研究・教育コモンズとの連携を基礎として―
陳思聡木下寛子竹熊尚夫Edward Vickers江口潔藤田雄飛趙世晨高野和良

どのような取り組みですか?

 都市は多様な背景を持つ人が集まる場所です。本プログラムは都市という場所とそのなかに生きている人々が政治的、社会的、文化的、経済的関係を持つ市民であることに焦点を当てて、都市環境、都市計画、アーバンデザイン、教育、生産、消費、権利、福祉、責任、移住、参加、コミュニティ形成、アイデンティティ変容などをキーワードとして多分野にわたる研究に取り組みます。アジアの都市と市民に関する学際研究には、これまでの人環の研究蓄積が活用されるとともに、この学際研究を通して更に学際の幅は広がっていくと考えられます。さらに、多様な市民がいる都市と都市にいる多様な市民の諸実践を研究するには、人環が持つ多分野を超えて、歴史的、言語的、経済的、または政治的分野への視野の拡張が必要となります。そのため、本取り組みにおいては、研究院・学府の枠を超える学際研究の可能性を模索し、人文科学分野、経済学分野、法学分野等との協働研究を目指します。
 この試みは「人社系協働研究・教育コモンズ」との連携を基礎にして進む予定です。「人社系協働研究・教育コモンズ」とは、本学の人文社会系4部局、「人文科学研究院」「人間環境学研究院」「経済学研究院」「法学研究院」が、人文社会系の学部および学府における協働教育活動と、異分野融合による新たな研究分野や研究課題の創発を目指す協働研究活動との両輪を統括し、管理運営していく態勢をとるために、2018年度に立ち上げた組織です。
 この多分野連携プログラムでは人環の多文化都市への学際的な取組に基づき関連する課題研究を進めていく一方で、人社系コモンズとつながりながら、人環の枠組みを超えて、九州大学の人社系の各部局や、学外の研究者との様々なプラットフォームの構築を同時に進めていきます。

 


令和2年度取り組み

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
野々村淑子高野和良田上哲山下亜紀子岡幸江田北雅裕稲葉美由紀

どのような取り組みですか?

 本取組は、子どもの育ちを支える様々な関係性を見つめ、そのなかでの亀裂や綻びを恢復していく道筋を探る領域横断的基礎研究です。さまざまな関係性をどのようなものと考え、そして何を亀裂や綻 びとするのか、ということ自体をも俎上にのせ、それぞれの前提や枠組を理解するということがまずは重要です。 
 人はさまざまな関係性のなかで生まれ、育ち、そして生きていき ます。子どもが生きている時空間には、多様に広がり、繋がりながら 変化し続けている諸関係の網目が存在しています。そうした諸関係 の網目とは、どのように絡み合っているのでしょうか。どのような時に、それは問題である、あるいは、欠如している、保護しなければならない、などのまなざしをあびることになるのでしょうか。さらに、そうした意識を土台として、どのようにそれを再構築していこうとするのでしょうか。
 子どもが生きている世界は、実は私たちが生きている世界です。つまり、子どもの育ちを支えている諸関係は、私たち自身がそのなかで生き、その関係性を築いているのです。子どもをめぐる諸関係の再構 築とは、私たち自身(が構成している関係の網目)の再構築です。私たちは、どこまでそれに向き合えるでしょうか。 領域横断的なアプローチによって、それぞれの前提、知見を対置させつつ、また実践者、関係諸機関の方々の声に耳を傾けつつ、融合的模索のための土壌とした いと思います。
 そして、教育または福祉として別箇に論じられてきた研究の枠組自体をも問い直すことを目指します。

共生社会のための心理学
光藤宏行池田浩内田若希小澤永治古賀聡金子周平

どのような取り組みですか?

 現代社会を理解するうえで「ダイバーシティ(多様性)」という考え方は欠かせない要素のひとつです。現代は人種や性はもとより、文化、価値観、それぞれがもつ感性や能力の違いなど多様なバックグラウンドを持つ人たちが共生することをめざす社会へと進みつつあります。
 自分の個性や能力を活かして皆が住みやすい社会を作り維持するためには、それぞれの個性や特性を尊重し合う態度が重要です。そのような社会を構築するためには、議論し、互いを知り、学び合うことが必要です。その時に参照できるもののひとつが、学問としての社会科学であり心理学と考えます。心理学は科学的なデータを重視し複雑で多様な人の心を理解することをめざす学問です。学際研究の重要性が強調される昨今、心理学は、知覚心理学、認知心理学、発達心理学、社会心理学、スポーツ心理学、環境心理学、臨床心理学など、さまざまな視点から人の心の多様性を研究しています。
 九州大学大学院人間環境学府の心理学は、視覚情報処理、アスリートの心理、運動障害を抱える人のスポーツやリハビリテイション、乳幼児の発達、発達障害児の支援、うつ病やアディクションなどストレス社会が生み出す心の問題への支援、企業等の組織におけるコミュニケーションやチームワークなど、さまざまな領域を学問の対象としています。本学府の心理学をベースに、それぞれの専門性や知見を持ち寄り、互いに刺激し合い高め合う学びの場を設けます。

災害と学校 ―人間環境学の知見の構築―
元兼正浩南博文神野達夫田北雅裕志波文彦

どのような取り組みですか?

これまでの取り組みは、以下の通りです。
◯2011~2012年度 「子どもや地域を犯罪から守るための異分野連携研究」
◯2012~2014年度 「学校のトイレで多分野連携アプローチの可能性をさぐる」
◯2015~2017年度 「通学路の研究-家庭から校門までの長い道のり-」                  
◯2018年度 「災害と学校-熊本震災に学ぶ-人間環境学の知見の構築(1)」
◎2019年度  「災害と学校 熊本震災に学ぶ2 -避難所についてかんがえる-」
 「学校トイレ」や「通学路」の研究会でも、災害時の問題点や対応に視点を当ててきましたが、2018年度は、「災害と学校」へと展開し、直接、「災害」に焦点を当てて、人間環境学の知見の構築として、多分野連携の意識を高めた取り組みを開始しました。
 具体的には熊本大震災について、建築学、教育学の2つの研究室の教員と院生が、それぞれ、学会発表などをもとに報告しました。異なる分野の研究室の発表は、感想文にも表れていましたが、通常の授業やゼミでは得ることが困難であろう知見の獲得はもちろんのこと、研究視点、研究方法の設定など、教員、および、院生にとって大きな刺激になり、研究意欲を高め、多分野連携研究の意義を実感する機会となったことは極めて大きな成果であったといえます。
 そこで、2019年度も、院生による報告を計画しました。報告者を学外に求め、「避難所」という同一のテーマで、広島大学大学院生の「被災直後の一時的教育空間の確保について」と本学大学院生の「被災者の移動を踏まえた避難所のあり方」の2つの報告から、子どもたちが「学校」、および、「家庭」における「日常」を取り戻す方向性を探る機会にしたいと考えました。
 いずれも建築学からの報告ではありますが、本研究会でのフロアからの意見も参考にしながら、また、学内、学外の研究室の知見などを参考に今後の方向性を考えたいと思います。
 また、防災教育等による被災の軽減、および、災害に対する個人的な、組織的な準備とさまざまな連携が、校内での被災後の安全で円滑な避難、自宅での罹災後の家庭生活や学校再開に繋がることを確認しながら、子どもたちの心身の安全と子どもたちが日常を取り戻す方策、および、それらの方向性を構築することを目標にしたいと思います。

遊びと洗練
飯嶋秀治岡幸江黒木俊秀古賀徹高橋勤磯谷明徳出水薫中山裕文馬奈木俊介

どのような取り組みですか?

 多分野連携「遊びと洗練」は、単年度連続企画として、2016年度から開催してきました。主には年に2回、人間-環境系から学習する講義と、人間-環境系へと働きかけるワークショップに講師を招聘し、「エキシビション」「アフォーダンス」「デザイン」「アート」等の主題のもとに2名の講師を招聘してまいりました。
 その趣旨とは、どの専門家らも距離のあるトピック(「遊び」の領域)を設けて、そこで体験したことを表現として創りあげてゆく(「洗練」の領域)の試みです。
 毎年主題とすることも、それを共有するメンバーも変化するため、「単年度連続企画」としていますが、人間環境学という学際領域をその時々の必要に応じて挑戦的な領域にし続けるための工夫でもあります。

アジアの都市と市民  ―人文社会系協働研究・教育コモンズとの連携を基礎として―
陳思聡木下寛子竹熊尚夫Edward Vickers江口潔藤田雄飛趙世晨高野和良

どのような取り組みですか?

 都市は多様な背景を持つ人が集まる場所です。本プログラムは都市という場所とそのなかに生きている人々が政治的、社会的、文化的、経済的関係を持つ市民であることに焦点を当てて、都市環境、都市計画、アーバンデザイン、教育、生産、消費、権利、福祉、責任、移住、参加、コミュニティ形成、アイデンティティ変容などをキーワードとして多分野にわたる研究に取り組みます。アジアの都市と市民に関する学際研究には、これまでの人環の研究蓄積が活用されるとともに、この学際研究を通して更に学際の幅は広がっていくと考えられます。さらに、多様な市民がいる都市と都市にいる多様な市民の諸実践を研究するには、人環が持つ多分野を超えて、歴史的、言語的、経済的、または政治的分野への視野の拡張が必要となります。そのため、本取り組みにおいては、研究院・学府の枠を超える学際研究の可能性を模索し、人文科学分野、経済学分野、法学分野等との協働研究を目指します。
 この試みは「人社系協働研究・教育コモンズ」との連携を基礎にして進む予定です。「人社系協働研究・教育コモンズ」とは、本学の人文社会系4部局、「人文科学研究院」「人間環境学研究院」「経済学研究院」「法学研究院」が、人文社会系の学部および学府における協働教育活動と、異分野融合による新たな研究分野や研究課題の創発を目指す協働研究活動との両輪を統括し、管理運営していく態勢をとるために、2018年度に立ち上げた組織です。
 この多分野連携プログラムでは人環の多文化都市への学際的な取組に基づき関連する課題研究を進めていく一方で、人社系コモンズとつながりながら、人環の枠組みを超えて、九州大学の人社系の各部局や、学外の研究者との様々なプラットフォームの構築を同時に進めていきます。

 


平成31年度取り組み

人間諸科学における『進化』と『文化』の位置
谷口秀子橋彌和秀坂元一光藤田雄飛大津隆広

どのような取り組みですか?


進化と文化を二項対立的に捉える視点はすでに過去のものです。現代におけるこの分野の議論は、「自然淘汰というアルゴリズムと個体の生物学的基盤とを踏まえた文化(を含む総合的)理解」と、「文化が進化的基盤に及ぼす影響を過小視してきた進化・生物学的研究への批判・反省」との両面を、ともに実証研究の俎上に載せることによって成り立っています。本取り組みは、(取組教員の専門分野に沿えば)心理学・哲学・人類学・社会学・言語学それぞれの分野における「進化」と「文化」概念を議論する場を形成し、いわば「○○と進化/文化」という問いを対象化することで、分野間の対話の礎となる共通基盤の形成と具体的な研究連携を探求します。

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
田上哲稲葉美由紀田北雅裕高野和良岡幸江野々村淑子山下亜紀子

どのような取り組みですか?

本取組は、子どもの育ちを支える様々な関係性を見つめ、そのなかでの亀裂や綻びを恢復していく道筋を探る領域横断的基礎研究です。さまざまな関係性をどのようなものと考え、そして何を亀裂や綻びとするのか、ということ自体をも俎上にのせ、それぞれの前提や枠組を理解するということがまずは重要です。
人はさまざまな関係性のなかで生まれ、育ち、そして生きていきます。子どもが生きている時空間には、多様に広がり、繋がりながら変化し続けている諸関係の網目が存在しています。そうした諸関係の網目とは、どのように絡み合っているのでしょうか。どのような時に、それは問題である、あるいは、欠如している、保護しなければならない、などのまなざしをあびることになるのでしょうか。さらに、そうした意識を土台として、どのようにそれを再構築していこうとするのでしょうか。
子どもが生きている世界は、実は私たちが生きている世界です。つまり、子どもの育ちを支えている諸関係は、私たち自身がそのなかで生き、その関係性を築いているのです。子どもをめぐる諸関係の再構築とは、私たち自身(が構成している関係の網目)の再構築です。私たちは、どこまでそれに向き合えるでしょうか。 領域横断的なアプローチによって、それぞれの前提、知見を対置させつつ、また実践者、関係諸機関の方々の声に耳を傾けつつ、融合的模索のための土壌としたいと思います。
そして、教育または福祉として別箇に論じられてきた研究の枠組自体をも問い直すことを目指します。

共生社会のための心理学
内田若希古賀聡光藤宏行
金子周平池田浩小澤永治

どのような取り組みですか?

現代社会を理解するうえで「ダイバーシティ(多様性)」という考え方は欠かせない要素のひとつです。現代は人種や性はもとより、文化、価値観、それぞれがもつ感性や能力の違いなど多様なバックグラウンドを持つ人たちが共生することをめざす社会へと進みつつあります。
自分の個性や能力を活かして皆が住みやすい社会を作り維持するためには、それぞれの個性や特性を尊重し合う態度が重要です。そのような社会を構築するためには、議論し、互いを知り、学び合うことが必要です。その時に参照できるもののひとつが、学問としての社会科学であり心理学と考えます。心理学は科学的なデータを重視し複雑で多様な人の心を理解することをめざす学問です。学際研究の重要性が強調される昨今、心理学は、知覚心理学、認知心理学、発達心理学、社会心理学、スポーツ心理学、環境心理学、臨床心理学など、さまざまな視点から人の心の多様性を研究しています。
九州大学大学院人間環境学府の心理学は、視覚情報処理、アスリートの心理、運動障害を抱える人のスポーツやリハビリテイション、乳幼児の発達、発達障害児の支援、うつ病やアディクションなどストレス社会が生み出す心の問題への支援、企業等の組織におけるコミュニケーションやチームワークなど、さまざまな領域を学問の対象としています。本学府の心理学をベースに、それぞれの専門性や知見を持ち寄り、互いに刺激し合い高め合う学びの場を設けます。

災害と学校 ―人間環境学の知見の構築―
元兼正浩南博文志波文彦田北雅裕神野達夫

どのような取り組みですか?

これまでの取り組みは、以下の通りです。
◇2011~2012年度 「子どもや地域を犯罪から守るための異分野連携研究」
◇2012~2014年度 「学校のトイレで多分野連携アプローチの可能性をさぐる」
◇2015~2017年度 「通学路の研究-家庭から校門までの長い道のり-」                  
◆2018度 「災害と学校-人間環境学の知見の構築-」
本年度は「熊本震災に学ぶ」と題して研究会(2018.11.22)を実施しました。
以前の取り組み、すなわち‘学校トイレ’や‘通学路’でも、災害時の問題点や対応に視点を当ててきましたが、2018年は、「災害と学校」へ展開し、直接、‘災害’に焦点を当て、人間環境学の知見の構築として、多分野連携の意識を高めた初年度です。
具体的には熊本大震災について、建築学、教育学の2つの研究室の教員と院生が、それぞれ、学会発表などをもとに報告しました。今回の報告では、熊本地震の特殊性 、すなわち、「連続した2回の地震‘前震と本震’」、「‘周期3秒’の‘1千年~1万年に一度’の‘増幅された大地震’」、「局所的な被害」が共有されたこと、次いで、「‘メモ’という個人の記録」を一次資料として、‘記録’と‘記憶’という視点で今後に生かす可能性がみえたことが確認されました。
加えて、外部講師による講演などではなく、自らの研究をもとに、院生自身が発表したことが、大きな成果といえます。
以上、異なる分野の2つの研究室の発表は、感想文にも表れていましたが、相互に、通常では得ることが困難であろう知見の獲得はもちろんのこと、研究視点、研究方法の設定など、教員、および、院生にとって大きな刺激になり、研究意欲を高め、多分野連携研究を実感する機会となったことは極めて大きな意義があったといえます。
今後は、今回、得られた知見、すなわち、2つの研究分野の‘記憶’と‘記録’を整理して、さらに他の研究室の知見などを加えて研究を進め、防災教育等による被災の軽減、および、モノ・コト・ヒトの準備と連携による罹災後の円滑な学校再開に繋がることを目標にしたいと思います。

 

遊びと洗練
南博文飯島秀治金子周平

どのような取り組みですか?

「遊びと洗練」は一見、連続企画のようでいながら、毎回メンバーが変わっている単年度偶発企画です(H28は飯嶋秀治・三島美佐子・南博文、H29は飯嶋秀治・金子周平・倉田剛・南博文、H30は飯嶋秀治・金子周平・南博文)。これまでに招いた講師はH28知覚の編集者の石黒敦彦氏・臨床心理士の羽下大信氏、H29知覚の生態心理学の染谷昌義氏・羽下大信氏、H30産業デザイナーの杉本美貴氏・羽下大信氏・表象文化論の佐藤良明氏・企画部評価係の菊池美祐氏・藤井都百氏がいます。人間環境学の都市建築・教育・人間科学のポテンシャルが活きるように、主には知覚研究者と環境研究者を招聘することにしています(羽下先生は毎年呼ばれていますが毎回違うWSをやっています)。
その目指すところはどの専門分野にも還元できないゲストと共に、各分野の中立地点の話題として設定し、そこで専門でないからこそ「遊び」ができますが、その遊びを通じて自らのディシプリンを洗練させることにあります。遊びがなければ、どのディシプリンも自律的に洗練化します。それは効率的にはなりますが、現実の猥雑さとの距離を希薄にしてゆきかねません。その意味で「遊び」は現在の各学会内の基準から見れば「遊び」ですが、各学問の次の展開をするときにはこの「遊び」が生存経路になることを目指しています。
なおH30年度にはこれまでの単年度偶発企画の仕切り直しとして企画部評価係を招きこの本企画そのものの評価を行ない、今年度はその上でメンバーの継続意思確認をしたので今年度も新たな企画として生まれ変わりました。

 

アジアの都市と人  ―人文社会系協働研究・教育コモンズとの連携を基礎として―

陳 思聡竹熊 尚夫Edward Vickers江口 潔藤田 雄飛趙 世晨高野 和良

どのような取り組みですか?

都市は多様な背景を持つ人が集まる場所です。本プログラムは都市という場所とそのなかに生きている人々に焦点を当てて、都市環境、教育、生産、消費、福祉、保障、人の流動、社会参加、コミュニティ形成、アイデンティティ変容などをキーワードとして多分野にわたる研究に取り組みます。アジアの都市と人に関する学際研究には、これまでの人環の研究蓄積が活用されるとともに、この学際研究を通して更に学際の幅は広がっていくと考えられます。さらに、多様な人が生きている都市と都市に生きている多様な人の諸実践を研究するには、人環が持つ多分野を超えて、歴史的、言語的、経済的、または法的分野への視野の拡張が必要となります。そのため、本取り組みにおいては、研究院・学府の枠を超える学際研究の可能性を模索し、人文科学分野、経済学分野、法学分野等との協働研究を目指します。
この試みは「人社系協働研究・教育コモンズ」との連携を基礎にして進む予定です。「人社系協働研究・教育コモンズ」とは、本学の人文社会系4部局、「人文科学研究院」「人間環境学研究院」「経済学研究院」「法学研究院」が、人文社会系の学部および学府における協働教育活動と、異分野融合による新たな研究分野や研究課題の創発を目指す協働研究活動との両輪を統括し、管理運営していく態勢をとるために、2018年度に立ち上げた組織です。
この多分野連携プログラムでは人環の多文化都市への学際的な取組に基づき関連する課題研究を進めていく一方で、人社系コモンズとつながりながら、人環の枠組みを超えて、九州大学の人社系の各部局や、学外の研究者との様々なプラットフォームの構築を同時に進めていきます。

 


平成30年度取り組み

人間諸科学における『進化心理学』の位置
谷口秀子橋彌和秀坂元一光藤田雄飛大津隆広

1980年代以降、動物行動学、生物学の領域を中心に発達してきた『進化心理学』について哲学、人類学、発達心理学、ジェンダー論等のそれぞれの立場から批判的に評価し、それがそれぞれの学問にとってどのような意義をもちうるかをめぐって既存の人間諸科学と進化心理学との対話を試みます。

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
田上哲稲葉美由紀田北雅裕高野和良岡幸江柴田建野々村淑子山下亜紀子

保護、養護、支援が必要とされる子どもの育ちを支える関係性とはどんなものでしょうか。諸制度や取組の実態、またそれらの歴史的、社会的背景などについてさまざまな方向から光を当て、現場の実践者の方々との交わりも持ちつつ、多角的に課題を検討していきます。

共生社会のための心理学
内田若希古賀聡光藤宏行
金子周平池田浩小澤永治

現代社会を理解するうえでダイバーシティ(多様性)という考え方は欠かせない要素の一つです。心理学は科学的なデータを重視し、複雑で多様な人の心を理解することをめざす学問です。人間環境学府の心理学は視覚情報処理、アスリートの心理、乳幼児の発達、心の問題への支援など、さまざまな領域を対象としています。それぞれの専門性や知見を持ち寄り、互いに刺激し合い高め合う学びの場を設けたいと思っています。

災害と学校 ―人間環境学の知見の構築―
元兼正浩南博文志波文彦田北雅裕神野達夫

本プロジェクト「災害と学校」は、これまでの積み重ねを活かしながら、災害時における<学校再開プロセス>に注目し、これを1.初期対応、2.避難所運営、3.学校再開といった時系列に沿って検討をすすめます。その際、学際的な研究体制を構築し、文理融合の知見を活かした総合的な学校の危機管理のあり方を考え、またこれまでの知見を活かして、学校トイレと通学路にも焦点を当てて震災対応の危機管理のあり方を整理していきます。そのうえでリスクマネジメントの視点から防災や減災の在り方についても議論を展開します。異質情報を有する異分野研究者との議論により、新たな知を発見することが本研究のネライの一つです(「人間環境学」の構築へ)。

遊びと洗練
南博文飯島秀治金子周平

多分野連携「遊びと洗練」では、毎年単年度で人間-環境系を体験するワークショップを開催し、その体験を言葉にすることで言葉にするセンスを豊かにしてゆく試みを、その都度メンバーを組み替えて行ってきました。今年度は「行為」「言葉」「関係」という3点の「遊びと洗練」を主題設定して3名の人間環境学研究院の教員たちが、3名のゲ
スト講師を迎える予定です。内教員3名の主題に対応する形で、平成30年5月14日(月)17:00~インダストリアルデザイン(デザインストラテジー専攻)の杉本美貴、平成30年6月15日(金)15:30~臨床心理士(住吉心理オフィス)の羽下大信、平成30年7月6日(金)17:00~表象文化論(東京大学名誉教授)の佐藤良明の3氏をゲスト講師に迎えます。


平成29年度取り組み

人間諸科学における『進化心理学』の位置
谷口秀子橋彌和秀浜本満坂元一光藤田雄飛大津隆広

1980年代以降、動物行動学、生物学の領域を中心に発達してきた『進化心理学』について哲学、人類学、発達心理学、ジェンダー論等のそれぞれの立場から批判的に評価し、それがそれぞれの学問にとってどのような意義をもちうるかをめぐって既存の人間諸科学と進化心理学との対話を試みます。

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
田上哲稲葉美由紀田北雅裕高野和良岡幸江柴田建野々村淑子山下亜紀子

保護、養護、支援が必要とされる子どもの育ちを支える関係性とはどんなものでしょうか。諸制度や取組の実態、またそれらの歴史的、社会的背景などについてさまざまな方向から光を当て、現場の実践者の方々との交わりも持ちつつ、多角的に課題を検討していきます。

共生社会のための心理学
内田若希古賀聡光藤宏行
金子周平池田浩

現代社会を理解するうえでダイバーシティ(多様性)という考え方は欠かせない要素の一つです。心理学は科学的なデータを重視し、複雑で多様な人の心を理解することをめざす学問です。人間環境学府の心理学は視覚情報処理、アスリートの心理、乳幼児の発達、心の問題への支援など、さまざまな領域を対象としています。それぞれの専門性や知見を持ち寄り、互いに刺激し合い高め合う学びの場を設けたいと思っています。

通学路の研究 ―家庭から校門までの長い道のり―
元兼正浩南博文志波文彦田北雅裕

校門を「希望の入口」と例えるのならば、通学路はその「希望の入口」に一歩一歩たどり着く「道」であるといえます。本プログラムは、この「希望の入口」と「道」の問題へ、教育学のみではなく、社会学、都市計画学、心理学などの異なる分野との学際的な連携によってアプローチしていきます。

遊びと洗練
南博文末廣香織倉田剛(人文科学研究院)・飯島秀治

多分野連携「遊びと洗練」では、環境心理学(南博文)、建築意匠(末廣香織)、分析形而上学(倉田剛)、共生社会学(飯嶋秀治)がひっそりと集まって、遊んでいるように見せながらも、実はそれが学問的な洗練になるという知のアクロバットを実践して見せる。具体的には7月14日に『知覚経験の生態学―哲学へのエコロジカル・アプローチ』の著者、染谷昌義氏をお招きして研究会を開催する。


 

平成28年度取り組み

 

人間諸科学における『進化心理学』の位置
坂元先生 谷口先生 藤田先生 橋彌先生 大津先生 浜本先生

坂元一光

教育システム専攻
(教育人類学)

谷口秀子

国際社会開発講座
(ジェンダー論)

藤田雄飛

教育システム専攻
(教育哲学)

橋彌和秀

行動システム専攻
(比較発達心理学)

大津隆広

教育システム専攻
(認知語用論)

浜本満

人間共生システム専攻
(文化人類学)

*は取組コーディネータ

進化心理学とは、1980年代に成立した新しい研究分野です。人間のこころの働き、考え方、感じ方、好みなどに見られる普遍的な特徴を、進化の産物として、つまり自然淘汰・適応のプロセスを通じて作り上げられてきた遺伝的構造によって説明しようとするのが、進化心理学の考え方の特徴です。当初、進化心理学は動物行動学者を中心とする生物学者たちが、その主たる担い手でした。この10年、進化心理学はアメリカ、イギリスを中心にますます勢力を増し、心理学、人類学、哲学、社会学などの既存の研究領域に対しても、それらの研究領域における議論を根本から刷新する可能性を示しています。
従来、人間諸科学の既存の研究領域では、人間のこころ、あるいは精神の問題を、しばしば生物学的な領域とはまったく切り離して問題にする傾向がありました。人間の精神や、社会の成り立ちを生物学的に説明するなどということは、とても考えられない話で、それはむしろ生物学的決定性から相対的に自由な、可塑的で変更可能な独自の領域だとみなされがちでした。むしろ逆に、一見したところ自然で生物学的に見える概念カテゴリーすら、実は社会的、文化的に構築されたものなのだという事実を、明らかにしてきたのです。しかし、人間のこころや考え方は、社会的、文化的にどのようにでも形を変えることができるのでしょうか。進化心理学の議論は、既存の人間諸科学のこうした暗黙の前提の行き過ぎを再考するチャンスを与えてくれるかもしれません。そこから何か新しい研究の可能性が見えてくるかもしれません。
残念ながら現状では、進化心理学と既存の人間諸科学とのあいだには大きな溝があり、両者で関心が共有され、活発な議論が交換されているとは言いがたいところがあります。これは双方にとって不幸なことです。進化心理学が人間の文化的な制度や慣習的行動を説明する仕方は、人類学、哲学等の既存の人間諸科学の側からみると、しばしばナイーブで短絡的に見えます。既存の人間諸科学で長年にわたって蓄積されてきた議論や成果が、あまり生かされていないのです。反対に、既存の人間諸科学の方でも、進化心理学において提示されてきたさまざまな議論に正面から対峙することなく、多くは一種の拒否反応と無視の姿勢をつらぬいているようにみえるのは残念です。既存の人間諸科学と進化心理学との対話は、よく言ってようやく始まったばかりで、けっしてまだ活発なものとはいえません。

今回の多分野連携の試みにおいては、進化心理学を、哲学、人類学、発達心理学、ジェンダー論等のそれぞれの立場から批判的に評価し、それがそれぞれの学問にとってどのような意義をもちうるか、議論してみたいと思います。それぞれの学問分野の根本を見直すよい機会になるでしょう。 本取り組みでは、各学期数回の合同研究会を開催します。合同研究会では、外部のゲストスピーカ(進化心理学および関連領域の研究者)を招いてのワークショップ、学生の研究発表などを行います。合同研究会への参加は自由ですので、興味ある学生の皆さんの参加をお待ちしています。年度末には公開シンポジウムや、研究成果の論集としての刊行も考えています。

人間諸科学における進化心理学の位置 人間諸科学における進化心理学の位置

子どもの育ちを支える協同関係の構築にむけて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
松﨑先生 田上先生 稲葉先生 田北先生 高野先生 岡先生

松﨑佳子

実践臨床心理学専攻
(臨床心理学)

田上哲

教育システム専攻
(教育方法学)

稲葉美由紀

国際社会開発講座
(社会福祉学)

田北雅裕

教育システム専攻
(教育デザイン論)

高野和良

人間共生システム専攻
(地域福祉社会学)

岡幸江

教育システム専攻
(社会教育学)

柴田先生 野々村先生 山下先生      

柴田建

都市共生デザイン専攻
(コミュニティ計画学)

野々村淑子

教育システム専攻
(教育文化史)

山下亜紀子

人間共生システム専攻
(家族社会学)

     

*は取組コーディネータ

私たちの取組みは、子どもの育ちを支えるさまざまな関係性をみつめ、そのなかでの亀裂や綻びを恢復していく道筋をさぐる領域横断的基礎研究である。さまざまな関係性をどのようなものと考え、そして何を亀裂や綻びとするのか、ということ自体をも議論の俎上にのせ、それぞれの前提や枠組を融合させていくことに留意する。
そのために、教育や子どもについての大局的な議論ではなく、個別的でミクロな場に着目し、多領域、多分野の視座から、横断的な分析、考察を行う。ここでいう横断的とは、学問研究領域の複数性ということだけではなく、子どもの育ちに関わるさまざまな諸機関の複数性も意味している。諸機関とは、ひとまずは学校や、家族、地域コミュニティなどが想定されるが、それにとどまらない。また、それらをどのようにとらえるかという点についても、専門領域や前提によって異なるだろう。そうした概念の枠組、それを支える認識の体系性についても丁寧におさえながら進めることにする。具体的には、後に述べるような、子どもの育ちに関わる個別的で固有な場面への横断的な関わりを通して、研究領域のディシプリンの枠組の間の融合だけではなく、各関係諸機関の間、さらに研究者と実践者との間の融合をも見据えながら、じっくりと議論を重ねていきたい。
人はさまざまな関係性のなかで生まれ、育ち、そして生きていく。子どもが生きている時空間には、多様に広がり、繋がりながら変化し続けている諸関係の網目が存在している。そうした諸関係の網目とは、どのように絡み合っているのか。どのような時に、それは問題である、あるいは、欠如している、などのまなざしをあびることになるのか。さらに、そうした意識を土台として、どのようにそれを再構築していこうとするのだろうか。
今回はまず、「保護」、「養護」、「支援」が必要とされる子どもの育ちを支える関係性を考えることからはじめることとする。支援や保護の制度および実践の現状と実態、それを支える歴史的・社会的背景の理解につとめ、支援プログラムの先行事例やモデルケースを参照、検討することによって、課題を共有していく。従来、子どもの保護や監護の問題は、主として社会福祉、児童福祉の領域において取り組まれてきた。そして、関係機関としても、学問領域としてもそれぞれの専門性においてアプローチを進めている。しかし、現実において、子どもは社会の関係性のなかで育つ。学校に通い、地域の近隣コミュニティのなかで生き、ひとりだちをしていく。つまり自立した生活者となっていくのである。こうした育ちからひとりだちまでの人生の過程を理解するには、福祉や教育といった専門機関や専門知を融合させ総合的な知見が必要であるのはもちろん、さらに複合的、多角的な視野が求められる。
子どもの生きている時空間は、ひとりひとりの子どもにとって固有であり、多様性に満ちている。子どもの育ちを支える諸関係は、その固有性、多様性に敏感でありつつ、いずれは子どもが自分の力でそこから離れてひとりだちをしていく時にむけて、諸関係自体が変容し続けなければならない。子どもが生きている世界は、実は私たちが生きている世界である。つまり、子どもの育ちを支えている諸関係は、私たち自身がそのなかで生き、その関係性を築いているのである。子どもをめぐる諸関係の再構築とは、私たち自身(が構成している関係の網目)の再構築である。私たちは、どこまでそれに向き合えるだろうか。領域横断的なアプローチによって、それぞれの前提、知見を対置させつつ、また実践者、関係諸機関の方々の声に耳を傾けつつ、融合的模索のための土壌としたい。

子どもの育ちを支える協同関係の構築にむけて 子どもの育ちを支える協同関係の構築にむけて

子どもの育ちを支える協同関係の構築にむけて

安全・安心への人間環境学的アプローチ
神野先生 黒木先生 當眞先生 蜷川先生 山口(裕)先生 志賀先生

神野達夫

都市共生デザイン専攻
(地震工学)

黒木俊秀

実践臨床心理学専攻
(災害精神医学)

當眞千賀子

都市共生デザイン専攻
(発達心理学)

蜷川利彦

空間システム専攻
(建築生産学)

山口裕幸

行動システム専攻
(社会心理学)

志賀勉

空間システム専攻
(建築計画学)

藤田先生 田北先生        

藤田雄飛

教育システム専攻
(教育哲学)

田北雅裕

教育システム専攻
(教育デザイン論)

 

     

*は取組コーディネータ

人々にとって豊かな社会の実現には、まず、その基盤として、安全な環境で安心に暮らせることが重要です。しかしながら近年、地震や土砂災害など大きな自然災害や原子力事故の発生、国際的なテロ活動、新型インフルエンザや風疹などの新興・再興感染症の拡大、コンピュータウィルス、サイバーテロに代表される情報セキュリティ問題の顕在化、少年・外国人犯罪といった国内治安の悪化など、人々の安全・安心を脅かす要因は多様化していると言えます。
また、「安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会」(文部科学省)が行った調査によると、「近年身の回りの危険が増したか」という質問に対して、7割を超す人が「多くなったと思う」あるいは「どちらかといえば多くなったと思う」と回答しています。さらに、「次の世代は今より安全でない世界で暮らすと思う」や「10年前より安全な国ではなくなった」と感じる人々が、日本では世界の他の地域に比べて多いとの調査結果もあり、多くの人々が自らの安全・安心に対して危機感を抱いていることが分かります。我々が安全に、そして安心して暮らすために、しなければいけないこととは何か?いま、それが問われている時代なのではないでしょうか?
一方、人間環境研究院・学府には、人間の環境に関わる様々な分野、すなわち心理学、社会学、文化人類学、教育学、健康科学、建築学といった文理の壁を越えた非常に幅の広い分野の教員が集結しています。これほどまでに幅広い分野の教員が集まった組織は全国的にも稀有な存在です。この人間環境研究院・学府で社会の安全・安心を考えたとき、いったいどのような取り組みができるのでしょうか?この問いに応えるべく、平成25年度の学府共通講義「人間環境学」では、「安全・安心な社会の構築に必要なものは何か?」というメインテーマのもと、「自然災害に対する安全・安心」、「子どもをめぐる暴力問題からみた安全・安心」の2つのサーブテーマを設定し、人間環境学を構成する様々な分野のレクチャーに加え、グループディスカッションやグループワークを織り込んだ学生参加型の授業を展開しました。
このプログラムでは、平成25年度の学府共通講義「人間環境学」での議論を踏まえ、「安全・安心な社会とはどのような社会なのか?」、「安全・安心な社会を実現するために人間環境学ができることとは何か?」、そして、「社会の安全・安心について自ら考え、実行できる人材を育成するには、どのような教育が必要なのか?」といった問題について、専門分野の枠組みにとらわれない自由な議論を展開し、安全・安心の問題に対して人間環境学的にアプローチする教育のあるべき姿を探ります。

社会の安全・安心を脅かす要因の例


分類

内容

犯罪

犯罪、テロ、迷惑行為

事故

交通事故、公共交通機関の事故、火災、化学プラント等の工場事故、原子力発電所の事故、社会生活上の事故

自然災害

地震・津波災害、台風などの風水害、火山災害、雪害

戦争

戦争、国際紛争、内乱

サイバー空間の問題

コンピュータ犯罪、大規模なコンピュータ障害

健康問題

病気、新興・再興感染症、子供の健康問題、老化、医療事故、メンタルヘルスの諸問題(自殺)

食品問題

O157などの食中毒、残留農薬・薬品等の問題、遺伝子組み換え食品問題

社会生活上の問題

教育上の諸問題、人間関係のトラブル、育児上の諸問題(虐待)、生活経済問題、社会保障問題、老後の生活悪化

経済問題

経済悪化、経済不安定

政治・行政の問題

政治不信、制度変更、財政破綻、少子高齢化

環境・エネルギー問題

地球環境汚染、大気汚染・水質汚濁、室内環境汚染、化学物質汚染、資源・エネルギー問題

安全・安心への人間環境学的アプローチ

 

共生社会のための心理学
内田先生 古賀聡先生 光藤先生

内田若希

行動システム専攻
(スポーツ心理学)

古賀聡

人間共生システム専攻
(臨床心理学)

光藤宏行

行動システム専攻
(知覚心理学)

*は取組コーディネータ

 現代社会を理解するうえで「ダイバーシティ(多様性)」という考え方は欠かせない要素のひとつです。つまり、現代は人種や性はもとより、文化、価値観、それぞれがもつ感性や能力の違いなど多様なバックグラウンドを持つ人たちが共生することをめざす社会へと進みつつあります。
自分の個性や能力を活かして皆が住みやすい社会を作り維持するためには、それぞれの個性や特性を尊重し合う態度が重要です。そしてそのような社会を構築するためには、議論し、互いを知り、学び合うことが必要です。その時に参照できるもののひとつが、学問としての社会科学であり心理学です。
心理学は科学的なデータを重視し複雑で多様な人の心を理解することをめざす学問です。学際研究の重要性が強調される今日ですが、心理学は、知覚心理学、認知心理学、発達心理学、社会心理学、スポーツ心理学、環境心理学、臨床心理学など、さまざまな視点から人の心の多様性を研究しています。
九州大学大学院人間環境学府の心理学は、視覚情報処理、アスリートの心理、運動障害を抱えるひとのスポーツやリハビリテイション、乳幼児の発達、発達障害児の支援、うつ病やアディクションなどストレス社会が生み出す心の問題への支援、企業等の組織におけるコミュニケーションやチームワークなど、さまざまな領域を学問の対象としています。つまり、本学府の心理学そのものが学際性をもっていると言っても過言ではありません。心理学におけるそれぞれの専門性や知見を持ち寄り、互いに刺激し合い高め合う学びの場を設けたいと思っています。

共生社会1 共生社会3

通学路の研究 ―家庭から校門までの長い道のり―
元兼先生 南先生 志波先生 田北先生

元兼正浩

教育システム専攻
(学校経営・教育行政学)

南博文

都市共生デザイン専攻
(環境心理学)

志波文彦

空間システム専攻
(建築計画学)

田北雅裕

教育システム専攻
(教育デザイン論)

*は取組コーディネータ

フランスのドキュメンタリー映画「世界の果ての通学路」が2014年話題となった。危険なジャングルで片道15キロを2時間かけて走破する兄妹、障害のある兄のためにおんぼろの車椅子を押して片道4キロを通学する2人の弟。兄は将来医者になることを夢見る。それぞれが希望を胸に過酷な道のりをものともせずに学校に通う姿がそこにあった。
世界の果ての話とは限らない。実質的な距離は近くとも「学校までのキョリ」の遠い家庭にいる子どもたちが日本にもいる。学校に通うことは貧困の連鎖から脱却する数少ない手段であるが、それがままならない子どもも少なくない。始原状態では選びようがなく生まれ落ちてしまった家庭(イエ)からいかにして巣立っていくか。
通学路は現実を打開する未来への一縷の希望の道。そして校門はその希望の入口である。9と3/4番線から乗り込まないと辿りつかないような選ばれた特別な学校でなく地元の普通の学校でも子どもたちは期待と不安を胸に校門をくぐる。
校門は学校の象徴でもある。マンガ『釣りキチ三平』の著者である矢口高雄氏は神戸の校門圧死事件に衝撃を受けて『蛍雪時代』の連載を開始した。その第1話が「校門を掘る少女」の話。新制中学校一期生の矢口少年の学校には塀も校門もなく生徒たちはそれぞれの自宅から最短距離で通学していた。戦後の新教育下で校門を生徒会で要求することになり、校長がポケットマネーから地域の大工さんに頼んで簡素な校門をこしらえてもらうと生徒たちは嬉しそうにわざわざ校門をくぐって登校するようになった。冬のある日のこと…ネタバレになるのでこのぐらいにしよう。
皆さんは母校の校門が瞼に残っているだろうか。そして通学の道のりは記憶に刻まれているだろうか。このたび学校統廃合の新基準が示された。通学距離に通学時間が加わったのは交通手段の利用を想定している。道草を喰う場所も放課後の時間を楽しむ暇もなくスクールバスに乗り込むことになるのかもしれない。
登下校をめぐる安全・安心の観点、校門に象徴されるスクールアイデンティティ、学校統廃合と地方創生なども通学路から切り込んでみたい。

概要及び活動内容
本プロジェクトにおいて、通学路を家から学校までの物理的空間移動の問題として捉えるだけでないことは前述の通りである。もちろん進学の問題なども含めると交通網の整備や移動手段の確保など都市計画の課題や通学路・通学時間帯の安全・安心確保など危機管理の視点も重要であるが、学校へ通うということの教育学的意味、家庭から巣立つということの社会学的意味、また校門や集団登校、交通立哨などの記憶は学際的な研究題材を提供してくれる。この領域に関して異分野相互の連携による学際的研究の蓄積は未だ十分ではなく、人間環境学府・研究院として新たな取組みの可能性が期待されている状況である。
そこで不定期に研究会を開催し、プロジェクト担当教員や所属の院生・学生・卒業生による話題提供、ゲストスピーカーによる講演、また事例の実地見学やエスノグラフィックな検討を通して、分野の枠組みを越えた議論を行い、研究の到達点を少しずつ確認しながら、多分野連携アプローチのあり方をさぐりたい(3年計画の1年目)。

通学路の研究

遊びと洗練
南先生 三島先生 飯嶋先生

南博文

都市共生デザイン専攻
(環境心理学)

三島美佐子

総合研究博物館
(植物系統学)

飯嶋秀治

人間共生システム専攻
(共生社会学)

*は取組コーディネータ

 人間環境学における発達を考える時、遊びと洗練という主題は興味深い一つの主題である。どこまでが遊びで、とこからが仕事なのかがはっきりとしない狩猟採集経済に比べ、近代工業社会では毎日分刻みで働ける人間観を生み出し、その見方の下で仕事と遊びが特に分化したというのはしばしば指摘されてきた[cf.カイヨワ1990(1958)]。ではいわゆるポスト・モダンの人間環境にあって、遊びはいかに洗練されてゆくのであろうか。
人類学では、そのポスト・モダン社会においては、グローバリゼーションの下で、コンビニエンスストアのようにどこにでもある「非‐場所」が登場してきているとされる[cf.オジェ1994(2002)]が、そうした人間環境において、遊びの「場所」性は意味を失うのか。例えば遊びの場所性は、比喩的な場所としての言葉の文脈というものに完全に置き換えられて、モバイル化できるものとなりきるのかどうか。それは遊びの福音なのかどうか。
多分野連携「遊びと洗練」では、環境心理学(南博文)、博物館学(三島美佐子)、共生社会学(飯嶋秀治)がひっそりと集まって、息抜きをしているように見せながらも、3人が集まれる場所から学際的な遊と洗練の人間環境を考えてゆく(年に2回程度の研究会ではゲストに体験型ミュージアムを実践してこられた石黒敦彦氏を6/24に、また臨床心理学とアートを実践してこられた羽下大信氏を10/28にお招きする予定)。

遊びと洗練 遊びと洗練


 

 

平成27年度取り組み

人間諸科学における『進化心理学』の位置
谷口秀子橋彌和秀浜本満坂元一光藤田雄飛大津隆広

1980年代以降、動物行動学、生物学の領域を中心に発達してきた『進化心理学』について哲学、人類学、発達心理学、ジェンダー論等のそれぞれの立場から批判的に評価し、それがそれぞれの学問にとってどのような意義をもちうるかをめぐって既存の人間諸科学と進化心理学との対話を試みます。

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
松﨑佳子田上哲稲葉美由紀田北雅裕高野和良岡幸江柴田建野々村淑子

保護、養護、支援が必要とされる子どもの育ちを支える関係性とはどんなものでしょうか。諸制度や取組の実態、またそれらの歴史的、社会的背景などについてさまざまな方向から光を当て、現場の実践者の方々との交わりも持ちつつ、多角的に課題を検討していきます。

安全・安心への人間環境学的アプローチ
神野達夫黒木俊秀當眞千賀子蜷川利彦山口裕幸志賀勉藤田雄飛田北雅裕

近年、災害や事故、テロなど、安全・安心を脅かす要因は多様化しています。人間環境学府の文理の枠を超えた教員の力を集めることによって「安全・安心な社会とはどのような社会なのか?」「安全・安心な社会を実現するために人間環境学ができることとは何か?」「社会の安心・安全について自ら考え、実行できる人材を育成するには、どのような教育が必要なのか?」といった問題に取り組みます。

共生社会のための心理学
内田若希古賀聡光藤宏行

現代社会を理解するうえでダイバーシティ(多様性)という考え方は欠かせない要素の一つです。心理学は科学的なデータを重視し、複雑で多様な人の心を理解することをめざす学問です。人間環境学府の心理学は視覚情報処理、アスリートの心理、乳幼児の発達、心の問題への支援など、さまざまな領域を対象としています。それぞれの専門性や知見を持ち寄り、互いに刺激し合い高め合う学びの場を設けたいと思っています。

通学路の研究 ―家庭から校門までの長い道のり―
元兼正浩南博文志波文彦田北雅裕

校門を「希望の入口」と例えるのならば、通学路はその「希望の入口」に一歩一歩たどり着く「道」であるといえます。本プログラムは、この「希望の入口」と「道」の問題へ、教育学のみではなく、社会学、都市計画学、心理学などの異なる分野との学際的な連携によってアプローチしていきます。

臨床のセノグラフィー:舞台装置としての心理臨床空間
佐々木玲仁末廣香織

心理臨床実践においては、その場の物理的環境が大きく影響することは臨床家のあいだでは経験的に熟知されていますが「どのような空間が心理臨床に最も適切なのか」という問いが議論されることは少ないのが現状です。当取組では、建築・臨床双方の観点を持ち寄って、室内から立地までの広い意味での面接環境を一種の舞台装置(セノグラフィー)と捉えて理想的な面接室について検討を行います。


 

平成26年度取り組み

人間諸科学における『進化心理学』の位置
谷口秀子橋彌和秀浜本満坂元一光

1980年代以降、動物行動学、生物学の領域を中心に発達してきた『進化心理学』について哲学、人類学、発達心理学、ジェンダー論等のそれぞれの立場から批判的に評価し、それがそれぞれの学問にとってどのような意義をもちうるかをめぐって既存の人間諸科学と進化心理学との対話を試みます。

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
松﨑佳子田上哲稲葉美由紀田北雅裕高野和良岡幸江柴田建野々村淑子

保護、養護、支援が必要とされる子どもの育ちを支える関係性とはどんなものでしょうか。諸制度や取組の実態、またそれらの歴史的、社会的背景などについてさまざまな方向から光を当て、現場の実践者の方々との交わりも持ちつつ、多角的に課題を検討していきます。

建築災害と生理・心理
友清衣利子蜷川利彦大垣哲朗前田潤滋光藤宏行山口裕幸小山智幸清家規神野達夫

災害避難時に人はどのように行動するのか、工事現場での事故はなぜ起こるのか、施工環境の過酷さによる建築物の品質低下はいかにして防ぐのかといった、建築災害にまつわる人間の諸問題に建築学、生理学、心理学が連携して取り組みます。

共生社会のための心理学
内田若希古賀聡實藤和佳子光藤宏行

現代社会を理解するうえでダイバーシティ(多様性)という考え方は欠かせない要素の一つです。心理学は科学的なデータを重視し、複雑で多様な人の心を理解することをめざす学問です。人間環境学府の心理学は視覚情報処理、アスリートの心理、乳幼児の発達、心の問題への支援など、さまざまな領域を対象としています。それぞれの専門性や知見を持ち寄り、互いに刺激し合い高め合う学びの場を設けたいと思っています。

学校トイレで多分野連携アプローチの可能性をさぐる ~九大人環「学校トイレ」研究会~
元兼正浩鈴木隆子志波文彦増田健太郎

学校のトイレは単なる学校施設の問題にとどまらず、子どもの教育や心理、健康面に関わる学際的な研究題材ですが、まだ取り組みが十分とは言えません。そこで、各分野の教員と共に研究会や実地見学会などを通 して多分野連携アプローチのあり方をさぐってゆきます。


 

平成25年度取り組み

人間諸科学における『進化心理学』の位置
谷口秀子橋彌和秀浜本満坂元一光箱田裕司

1980年代以降、動物行動学、生物学の領域を中心に発達してきた『進化心理学』について哲学、人類学、発達心理学、ジェンダー論等のそれぞれの立場から批判的に評価し、それがそれぞれの学問にとってどのような意義をもちうるかをめぐって既存の人間諸科学と進化心理学との対話を試みます。

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
松﨑佳子田上哲稲葉美由紀田北雅裕高野和良岡幸江野々村淑子

保護、養護、支援が必要とされる子どもの育ちを支える関係性とはどんなものでしょうか。諸制度や取組の実態、またそれらの歴史的、社会的背景などについてさまざまな方向から光を当て、現場の実践者の方々との交わりも持ちつつ、多角的に課題を検討していきます。

建築災害と生理・心理
友清衣利子蜷川利彦林直亨前田潤滋光藤宏行山口裕幸小山智幸清家規

災害避難時に人はどのように行動するのか、工事現場での事故はなぜ起こるのか、施工環境の過酷さによる建築物の品質低下はいかにして防ぐのかといった、建築災害にまつわる人間の諸問題に建築学、生理学、心理学が連携して取り組みます。

水俣を通じて人間と環境の関係を考える
飯嶋秀治岡幸江當眞千賀子

水俣病の問題は「水俣市」だけの問題でなければ、「過去」の問題でもない。その主たる原因は、当時玩具や衣類に用いられた塩化ビニールや香料や化粧品に用いられたオクタノールの原料アセトアルデヒドの生産触媒にしたメチル水銀であった。しかし、ある地域の環境全体が汚染されたとき、その被害は加害企業の家族にも及び、その企業の受益者は日本全国にいる。この構図は、福島でも同様である。だから、水俣病の問題を学びなおすことは、私たちの未来の人間環境を構築するうえでの糧になるのである。そういう構想の中で、いったい人間科学は、教育学は、建築学はどのような寄与ができるのだろうか。本他分野連携は、そうした問題を考える場にしていきたい

学校トイレで多分野連携アプローチの可能性をさぐる ~九大人環「学校トイレ」研究会~
元兼正浩鈴木隆子志波文彦増田健太郎

学校のトイレは単なる学校施設の問題にとどまらず、子どもの教育や心理、健康面に関わる学際的な研究題材ですが、まだ取り組みが十分とは言えません。そこで、各分野の教員と共に研究会や実地見学会などを通 して多分野連携アプローチのあり方をさぐってゆきます。


 

平成24年度取り組み

人間諸科学における『進化心理学』の位置
谷口秀子橋彌和秀浜本満坂元一光箱田裕司

1980年代以降、動物行動学、生物学の領域を中心に発達してきた『進化心理学』について哲学、人類学、発達心理学、ジェンダー論等のそれぞれの立場から批判的に評価し、それがそれぞれの学問にとってどのような意義をもちうるかをめぐって既存の人間諸科学と進化心理学との対話を試みます。

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
松﨑佳子田上哲稲葉美由紀田北雅裕高野和良岡幸江野々村淑子

保護、養護、支援が必要とされる子どもの育ちを支える関係性とはどんなものでしょうか。諸制度や取組の実態、またそれらの歴史的、社会的背景などについてさまざまな方向から光を当て、現場の実践者の方々との交わりも持ちつつ、多角的に課題を検討していきます。

建築災害と生理・心理
友清衣利子蜷川利彦林直亨前田潤滋光藤宏行山口裕幸小山智幸清家規

災害避難時に人はどのように行動するのか、工事現場での事故はなぜ起こるのか、施工環境の過酷さによる建築物の品質低下はいかにして防ぐのかといった、建築災害にまつわる人間の諸問題に建築学、生理学、心理学が連携して取り組みます。

子どもや地域を犯罪から守るための異分野連携研究
有馬隆文古賀靖子柴田建中村知靖箱田裕司浜本満元兼正浩

犯罪リスクをめぐる課題は犯罪者となる人間の問題、犯罪を生む場や環境の問題など、多面的な要素があります。それらに対して異分野の研究者が連携して取り組むことで、これまでの縦割り的な研究では見いだせなかった新たな視座や方法を探究していきます。

学校トイレで多分野連携アプローチの可能性をさぐる ~九大人環「学校トイレ」研究会~
元兼正浩鈴木隆子志波文彦増田健太郎

学校のトイレは単なる学校施設の問題にとどまらず、子どもの教育や心理、健康面に関わる学際的な研究題材ですが、まだ取り組みが十分とは言えません。そこで、各分野の教員と共に研究会や実地見学会などを通 して多分野連携アプローチのあり方をさぐってゆきます。

異分野交流・学際教育研究の促進される大学キャンパス
南博文佐々木玲仁杉山佳生鶴崎直樹飯嶋秀治新谷恭明田北雅裕

異分野交流、学際的な教育や研究が促進される大学キャンパスの環境とはどのようなものでしょうか。様々な視点を持ち寄り、自由な発想を活かし、箱崎キャンパス、伊都キャンパスを主な題材にしてこの問題に取り組んで行きます。


 

平成23年度取り組み

人間諸科学における『進化心理学』の位置
谷口秀子橋彌和秀土戸敏彦浜本満坂元一光箱田裕司

1980年代以降、動物行動学、生物学の領域を中心に発達してきた『進化心理学』について哲学、人類学、発達心理学、ジェンダー論等のそれぞれの立場から批判的に評価し、それがそれぞれの学問にとってどのような意義をもちうるかをめぐって既存の人間諸科学と進化心理学との対話を試みます。

子どもの育ちを支える協同関係の構築に向けて ~福祉と教育を結ぶ領域横断的基礎研究~
松﨑佳子田上哲稲葉美由紀田北雅裕高野和良岡幸江野々村淑子

保護、養護、支援が必要とされる子どもの育ちを支える関係性とはどんなものでしょうか。諸制度や取組の実態、またそれらの歴史的、社会的背景などについてさまざまな方向から光を当て、現場の実践者の方々との交わりも持ちつつ、多角的に課題を検討していきます。

建築災害と生理・心理
小山田英弘友清衣利子蜷川利彦林直亨前田潤滋光藤宏行山口裕幸小山智幸清家規

災害避難時に人はどのように行動するのか、工事現場での事故はなぜ起こるのか、施工環境の過酷さによる建築物の品質低下はいかにして防ぐのかといった、建築災害にまつわる人間の諸問題に建築学、生理学、心理学が連携して取り組みます。

子どもや地域を犯罪から守るための異分野連携研究
有馬隆文古賀靖子柴田建中村知靖箱田裕司浜本満元兼正浩

犯罪リスクをめぐる課題は犯罪者となる人間の問題、犯罪を生む場や環境の問題など、多面的な要素があります。それらに対して異分野の研究者が連携して取り組むことで、これまでの縦割り的な研究では見いだせなかった新たな視座や方法を探究していきます。

異分野交流・学際教育研究の促進される大学キャンパス
南博文佐々木玲仁杉山佳生鶴崎直樹

異分野交流、学際的な教育や研究が促進される大学キャンパスの環境とはどのようなものでしょうか。様々な視点を持ち寄り、自由な発想を活かし、箱崎キャンパス、伊都キャンパスを主な題材にしてこの問題に取り組んで行きます。


 

平成22年度取り組み

人間諸科学における『進化心理学』の位置
谷口秀子橋彌和秀土戸敏彦浜本満坂元一光箱田裕司

1980年代以降、動物行動学、生物学の領域を中心に発達してきた『進化心理学』について哲学、人類学、発達心理学、ジェンダー論等のそれぞれの立場から批判的に評価し、それがそれぞれの学問にとってどのような意義をもちうるかをめぐって既存の人間諸科学と進化心理学との対話を試みます。

人間環境実践知の構築〜人間と環境に働きかける技法と専門知の「あいだ」を考える〜
安立清史飯嶋秀治岡幸江菊地成朋柴田建高野和良野村亮太針塚進南博文野々村淑子

人間環境学という学問の可能性を考えるにあたり、人間と環境に働きかける知とはいかに可能か、つまり実践知としての人間環境学的知の構築を、学際的アプローチによって議論しようという試みです。葛藤、差異化や対立もありつつ、そこから融合、再構成されていく知の共同体を楽しむ会です。

建築災害と生理・心理
小山田英弘友清衣利子蜷川利彦林直亨前田潤滋光藤宏行山口裕幸小山智幸清家規

災害避難時に人はどのように行動するのか、工事現場での事故はなぜ起こるのか、施工環境の過酷さによる建築物の品質低下はいかにして防ぐのかといった、建築災害にまつわる人間の諸問題に建築学、生理学、心理学が連携して取り組みます。

人環の叡智で学校の危機を管理する
元兼正浩増田健太郎新谷恭明有馬隆文山口裕幸中原浩之志波文彦

学校における危機には実にさまざまなものがあります。災害や事故もあれば、児童生徒、教職員の人間関係や倫理に関わる問題もあります。その多様な側面に、教育学、社会心理学、臨床心理学、建築学などからの多彩な教授陣が多方向からアプローチします。

異分野交流・学際教育研究の促進される大学キャンパス
南博文佐々木玲仁杉山佳生鶴崎直樹

異分野交流、学際的な教育や研究が促進される大学キャンパスの環境とはどのようなものでしょうか。様々な視点を持ち寄り、自由な発想を活かし、箱崎キャンパス、伊都キャンパスを主な題材にしてこの問題に取り組んで行きます。