研究内容
乳幼児が示す自己理解・他者理解
赤ちゃんは自分自身や他者のことをどのように知覚・理解しているのか、そして、自己理解と他者理解は相互にどうつながっているのか、外見及び内面(心的状態)の側面から検討しています。自己や他者の身体が果たす役割に注目し、自分自身の知覚・運動経験によって起こる変化、他者との相互作用によって促進される発達の側面についても研究をすすめています。
乳幼児期における他者の“こころ”の理解とその発達過程
近年、発達早期に他者の“こころ”の理解のめばえが観察されることが明らかになってきました。しかし、乳児と幼児では測定手法が違うこともあり、乳児が示す理解と幼児が示す理解との連続性やそれぞれの理解の水準はまだよく分かっていません。当研究室では、乳幼児が示す他者の“こころ”の理解を追究すると同時に、縦断的な実験研究を実施して、他者の“こころ”に関する萌芽的な理解からより高次の理解へすすんでいく発達過程について実証的な解明を試みています。
社会的認知の発達を支える諸要因
社会的認知は、環境との相互作用の中で、他の関連能力と相互にリンクしながら発達していくと仮定されていますが、具体的な解明には至っていません。子ども自身の先天的要因や(社会的認知以外の)他領域の発達、養育者との社会的相互作用、養育者を取り巻く状況等といった多角的指標を測定し、社会的認知との関連を検討することで、乳幼児期の社会的認知発達を支える諸要因 及び 各要因が影響を及ぼす発達の側面の特定をめざしています。
自閉症スペクトラムにおける社会的認知
自閉症スペクトラムの診断は幼児期以降が多いこともあり、自閉症における社会的認知の発達過程は未だ謎につつまれています。どの時期のどのような発達の側面にみられる個人差が自閉症と関連があるのか、ライフステージを超えて自閉症スペクトラムはどのような発達軌跡を描くのか、他者とのやり取りからどのような側面の発達が促されるのかなど、発達評価や発達支援も視野に入れた縦断研究(コホート調査、実験)・臨床実践活動をすすめています。市町村、療育機関とも連携をとりながら幅広く研究を実施しています。